＜新型コロナ＞除菌ジェルを地元小中学生に無料配布神崎の化粧品メーカー「子どもたち思い、作った」 - 東京新聞

地元の小中学生らに届けたアルコール除菌ジェル＝神崎町で

　神崎町の化粧品製造会社サンソフィアが、新型コロナウイルス感染予防のため手指に塗り込むアルコール除菌ジェルを作り、町内の小中学生や熊本県の被災者らに無料で配った。

　消毒用アルコールが品薄となっていた五月、学校再開を控えた地元の子どもたちや家族らの不安を解消しようと、寄付目的で除菌ジェルを作ることにした。手荒れや刺激を少なくしながらベタつきが十秒ほどで消えるよう、試作を繰り返してグリセリンやヒアルロン酸の配合を決めた。エタノール含有量は市販品の中でもかなり高い部類に入るという。

　同社は大手メーカーの下請けや相手先ブランドによる生産（ＯＥＭ）で数多くの種類の基礎化粧品を手掛けている。除菌ジェルは、寄付先の必要量に応じて通常業務の合間に一回五百〜千本を生産した。

　町内の児童生徒が一人一本持てるよう神崎、米沢の両小学校と神崎中学校に計四百八十本を届けた。このほか、県立香取特別支援学校や日頃交流のある町内や成田市の飲食店に寄付。七月に球磨川の氾濫で被災した熊本県あさぎり町と山江村にも、現地の友人を通じて計三千本を贈った。

　同社には「孫のためにありがとうございました」などと電話やメールで感謝の声が相次いで寄せられ、学校長など会社を直接訪れる人も。また、熊本からはお礼状も届いた。

　高橋正剛社長（５８）は「町の将来を担う子たちを思って作り、売ることはあまり考えていない。供給不足が解消され役割を終えたと思うが、この先もできることは協力したい」と話す。

　余った除菌ジェルは、道の駅発酵の里こうざきで一本百八十五ミリリットル入り千円（税込み）で販売中。今のところ、追加生産の予定はない。　（小沢伸介）