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楽天「送料無料」2週間/不参加店の売上高激減/「検索で不利にされた」 - しんぶん赤旗

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2020年4月5日(日)

不参加店の売上高激減

「検索で不利にされた」

 インターネット通販サイト「楽天市場」を運営する楽天が3980円以上の買い物で送料を「無料」にするサービス「送料無料ライン」を導入して2週間余りがたちました。どのような影響が出ているのか。楽天市場に出店する小売業者に話を聞きました。(杉本恒如)

 「3月の売り上げが激減しました。去年の3月と比べて6割以上の減少です」

「減り方不自然」

 愛知県で服飾品などの店舗を経営するAさんは「衝撃的な減り方」ととまどいます。3月は例年、卒業式や入学式の需要で売り上げが大きく伸びる時期。新型コロナウイルスの感染拡大のため各地で式典が中止・縮小された影響はあります。それでも、他の通販サイトでは前年同月比1~3割程度の売上高の減少にとどまっています。逆に営業努力が奏功して数倍に増えたサイトもあります。「楽天市場での減り方はあまりに不自然です」と話すAさん。楽天の「送料無料ライン」導入が作用していると考えています。

 全店舗を対象にした「送料無料ライン」の導入計画は送料負担の押し付けだと多くの出店者の反発を受けました。公正取引委員会にも独占禁止法違反の疑いを指摘され、楽天は出店者の選択制という形で実施しました。

 しかし楽天は一律実施に固執し、不参加店舗に対してさまざまな報復措置をとりました。一つは「送料無料ライン」に参加する店舗だけを対象にした検索機能をつくり、不参加店舗を排除したことです。Aさんは「送料無料ライン」に参加しませんでした。

極端な順位下落

 「楽天市場で同種の商品を検索すると、うちの店舗だけ『送料無料ライン対応』のマークが付いておらず、検索順位が従来と比べて極端に下がりました。『送料無料ライン』に参加した他社に対し、検索で不利にさせられた影響が出たのだと思います。楽天が算出する売上高の週間ランキングやデイリーランキングで数年にわたって1位を獲得してきた人気商品まで下位に沈んでいます。異常です」

 「送料無料ライン」に参加した出店者も「自由な選択の結果ではない」といいます。愛知県のBさんは「送料無料ライン」に反対でしたが、悩んだ末に参加しました。

 「参加しないとコンビニや郵便局での商品の受け取りをお客さんが選べなくなるからです。1週間に1人くらいはコンビニ受け取りを希望するお客さんがいますから、不参加を選択する自由はありませんでした。楽天の卑劣な策略です。選択制という見せかけで公取委の追及をかわし、裏では不参加の出店者をいじめて参加を強制しているのです」

独占禁止法違反の疑い

 楽天は「送料無料ライン」不参加の出店者を差別して不利益を与え、参加に追い込もうとしています。こうしたやり方は事実上、送料負担の強要です。独禁法が禁止する優越的地位の乱用に当たる疑いは拭えません。独禁法が禁ずる差別的取り扱いに当たるとの指摘もあります。

とらぬタヌキの

 楽天の三木谷浩史会長兼社長は「送料無料ライン」を導入すれば「十数%は流通総額が上がる」と述べてきました。しかし―。

 「3月に売り上げが伸びたということは全然ありませんね」

 家電製品を販売する東京都内のCさんは「送料無料ライン」に参加しています。商品単価が比較的高額で以前から全商品の価格を送料込みとしていたため、参加にあたって価格を変える必要がなかったからです。

 約5万の店舗がひしめき、2億7千万点の商品を売る楽天市場。本来、送料は店舗ごと、商品ごとにばらばらです。一定価格以上の購入で一律「送料無料」にすれば消費者にわかりやすくなり、売上高が増える―。それが楽天の皮算用でした。しかし3月18日に「送料無料ライン」を導入しても好影響はないとCさんはいいます。

 「成功を演出したい楽天は必死です。『送料無料ライン』に参加した店舗を『39(サンキュー)ショップ』と呼び、優遇しました。メール便なら100円、宅配便なら250円の支援金を3カ月限定で出店者に出し、3~5倍のポイントを消費者に与えてきました。それでも売り上げが伸びないのですから、思惑は外れ、リソース(資源)を食いつぶしているだけにみえます」

 「3月の売上高が増えたか」との本紙の問い合わせに対し、楽天EC広報課は「『楽天市場』自体、大変ご好評をいただいている」と言葉を濁し、「増えた」とは答えません。「送料無料ライン」に参加した店舗の数についても「開示を控えている」との回答です。

公取委の判断は

 出店者の負担で送料を「無料」にし、他の通販サイトから顧客を奪い取ろうという楽天の思惑は、出店者の根強い反対運動によって幾重にも破綻しています。独禁法違反の行為をやめるよう企業に命令(排除措置命令)できる公取委は、楽天の行為に対する審査を続けています。「本当に出店事業者が参加するかしないかを自らの判断で選択できる形となっているか」(菅久修一事務総長)確認すると表明しています。実態に即した公正な判断が求められます。



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