映画を作る上で妥協をしなかった黒沢明監督に、有名な逸話がある。『天国と地獄』の撮影で、特急列車の窓から一瞬見える民家の2階部分が気になった。意を受けたスタッフが住人に掛け合い、その2階を解体した。撮影終了後、元に戻したという。
作品のためには何が必要かをとことん突き詰め、必要ならば、思い切った行動に出る。彼がモットーとした「悪魔のように細心に、天使のように大胆に」を実践したようにも思える。
この言葉、スポーツにも当てはまる。あすで閉幕する東京五輪でも、宮城県ゆかりの選手をはじめ、誰もが勝利や記録を目指して細心に策を練り、ここぞというところでは大胆に勝負に出た。
とはいえ、頂点に立つには実力以外の何かが必要だとされる。それを運と呼ぶ人もいる。ソフトボール決勝の六回裏、米国の好機の芽を、併殺で一瞬にして摘み取った日本の守備は一例だろう。時に細心に、時に大胆にプレーしてきたからこそ、気まぐれな勝利の女神がほほ笑んでくれたに違いない。
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河北抄(8/7):映画を作る上で妥協をしなかった黒沢明監督… - 河北新報オンライン
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