主要都市で世界初 ＬＡで電車・バス完全無料化は実現可能？
ロサンゼルスは９日水曜日の午後２時２０分を回ったところです。カリフォルニア州の感染者は全米の州で最多のおよそ７４万人に上りますが、中でもロサンゼルスから最も多くの感染者が出ていて、今も飲食店での屋内営業やショッピングモールなどの営業は禁止されていて、経済的ダメージは大きいままです。そこでロサンゼルス郡は大胆な試みに乗り出しました。
きょう、お伝えしたいキーワードは、「大都市で世界初！？ 運賃タダへの道」です。ロサンゼルス郡の交通局「メトロ」が運営する電車とバスの運賃は、１回の乗車で１．７５ドル、２００円弱で、１か月乗り放題ですと１００ドル、１万円余りです。メトロは今月初め、この運賃を完全に無料とするためのタスクフォースを立ち上げました。
「電車とバスが無料になれば、特に低所得の困窮世帯の家計にお金が戻り、その分、自由に使えるお金になるのです」（ロサンゼルス郡都市圏交通局 フィリップ・Ａ・ワシントンＣＥＯ）
ロサンゼルス郡の住民の年収の中央値はおよそ６８０万円ですが、メトロの電車とバスを利用する人は年収２００万円前後が多いといいます。使えるお金を増やして経済を活性化させることと、排出ガス削減のためクルマ依存を減らすことが完全無料化の主な狙いです。
「新型コロナの状況下で電車・バスの無料化は大きい。仕事を失った人もいるし、毎月定期収入を得るのは難しい状況だから」（メトロ利用者）
「タダになって利用者が増えすぎて混雑して密になるのを防げるのなら良いんだが、良い面、悪い面、両方だね」（メトロ利用者）
公共交通機関の完全無料化は比較的小規模な国や自治体では既に導入されていますが、ロサンゼルスで実現すれば、世界の主要な大都市では初めてとみられます。
＜Ｑ．電車もバスも完全無料となると、助かる方も多いでしょうけど、インタビューで答えていたように、良い面、悪い面あると思うんですが、課題をあげるとしたらどんなことがありますか？＞
課題はいくつもあります。まず安全面についてです。利用者のインタビューでもあったように、完全無料化で車内が密になる可能性がありますので、マスクの着用や車内消毒の徹底といった課題があげられます。また財政面では、現在、運賃で回収している年間３００億円前後について補助金や広告収入などで賄う予定だとしていますが、他にもロサンゼルス特有の課題があるようです。
「財政面では実現可能だと思いますが、タダで何の障壁もなく電車やバスに乗れてしまうと、ホームレスが車両に詰めかける可能性があります」（南カリフォルニア大学 ジェームス・ムーア教授）
ロサンゼルスではおよそ６万人のホームレスがいて、その多くが路上やシェルターで密集して生活しているため、ホームレスの新型コロナ感染抑止が既に大きな課題となっています。その対策は必須となります。
ロサンゼルスの「メトロ」は今年中に計画を練り上げ、年明け早々にも電車・バスの完全無料化の実現について最終判断する方針です。
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September 10, 2020 at 07:12PM
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