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<話 人 まち>「カメさん安心して暮らして」 外来種無料で引き取り続ける 河津「iZoo」 - 東京新聞

動物園「iZoo」の人工池で、ミシシッピアカミミガメに餌を与える園長の白輪さん=河津町で

動物園「iZoo」の人工池で、ミシシッピアカミミガメに餌を与える園長の白輪さん=河津町で

 幅二十五メートル、奥行き八メートルの巨大な人工池に餌を投げ入れると、無数のミシシッピアカミミガメが頭を伸ばして口を開けた。河津町の動物園「iZoo(イズー)」は、飼い切れなくなったカメを無料で引き取る活動を続けている。外来種として社会問題にもなっているが、殺処分は絶対にしない。園長の白輪剛史(しらわつよし)さん(51)は「ついのすみかとして、安心して暮らしてほしい」とほほえむ。

 ミシシッピアカミミガメは一九五〇年代後半から「ミドリガメ」の愛称で多数輸入されたが、近年、捨てられた個体が繁殖している。環境省は二〇一五年、生態系などに被害を及ぼすとして「緊急対策外来種」に認定した。

 静岡市生まれの白輪さんは、物心がついた時から爬虫(はちゅう)類が大好きだった。幼稚園の頃には、家にあった動物事典の爬虫類のページだけがぼろぼろに。中学生になるとエキゾチックな海外の爬虫類に魅了され、高校卒業後は海外で買い付けた爬虫類を日本の業者に売る動物商になった。

 仕事のなかで、飼い主に捨てられた外来生物が、生態系や農作物に被害を及ぼしているという声を多く聞いた。徳島県ではミドリガメによる、レンコンの食害被害も明らかになった。「動物商は売ったら終わりの世界。でも、それだけじゃいけない」。一二年にイズーを開園すると、爬虫類の引き取りを始めた。

 一年間に引き取る爬虫類約千匹のうち、半数以上がミドリガメ。見分けが付かないため、後になって渡したカメを見せてほしいなどと問い合わせないことが条件だ。

 一八年五月には、より多くのカメを引き取るため、クラウドファンディングで資金を募り、最大約八千匹を収容できる人工池を完成させた。池の壁は垂直で、カメが逃げないようにした。また陸をつくらず繁殖しにくくしている。

 「外来種を飼育するなんて」と非難する声もある。だが罪のないカメを殺すことには反対だ。ミドリガメは安価だが、四十年生きる個体もいる。「飼育が難しくなったら捨てるのではなく、まずは相談してほしい」と語った。

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