新作ビデオダンス無料配信さいたま芸術劇場の公演中止で：東京新聞 TOKYO Web - 東京新聞

２０１６年の公演の様子（いずれも（ｃ）ＨＡＲＵ）

　二〇〇六年から彩の国さいたま芸術劇場（さいたま市）で新作ダンスを披露してきたダンスカンパニー「コンドルズ」は、中止になった公演に代わってビデオダンスに挑戦し、無料で配信する。主宰の近藤良平さんは「今回はチャレンジ。やれることをする。自宅からできる精いっぱいのあそびゴコロです」と意気込む。（前田朋子）

近藤良平さん

　学ラン姿で舞台狭しと駆け回り、本格ダンスのほかにコントや人形劇なども織り込み楽しませる「芸風」は、観客との触れ合いを何より重視する。三十、三十一日に同劇場で公演が予定されていたが、新型コロナウイルスの影響で中止に。延期も検討したが、スケジュールとけいこ場の空き日程などが合わず、年度内は断念した。

　そこで、劇場プロデューサーの佐藤まいみさんが、公演に代わる「コンドルズならでは」の映像制作を近藤さんに提案。メンバーは集合できない中、近藤さんの指示でそれぞれ自宅で映像を撮り、編集することになった。映像配信の場合、使う音楽の著作権が問題となるが、書道家やアスリート、哲学者など多くの才能が集まる集団は音楽もお手のもの。オリジナル曲を自分たちで演奏してクリアした。

　ビデオダンスのタイトルは「Ｉ　Ｗａｎｔ　Ｔｏ　Ｈｏｌｄ　Ｙｏｕｒ　Ｈａｎｄ」。同名のビートルズの曲は「抱きしめたい」の邦題で知られる。近藤さんは「切実にそう思う。当たり前のことが当たり前でない、そんなことが心の中を駆け巡るのです。『希望』の気持ちも込めて」と込めた思いを説明。

　「（配信は）挑戦です。劇場がどれだけ広い場所で豊かな表現の場所なのか、今だから実感できる。次にまた新しく立ち向かうことができるよう、メンバーで切磋琢磨（せっさたくま）したい」と話している。

　配信は本公演の開演時間だった三十日午後二時から六月八日午後一時五十九分まで。県芸術文化振興財団の公式ユーチューブチャンネルから視聴できる。