以前から働き方改革の促進で需要のあった「ビデオ会議」だが、新型コロナウイルスの影響でその進化がめまぐるしいものになっている。
作成:Business Insider Japan
テレワークが増え、ビジネス以外にも多用する人が増えているのが、Zoomを始めとしたビデオ会議アプリだ。
こうしたビデオ会議アプリの多くは、一定の機能が無料で使える「無料版」が公開されていて、中小規模の事業者やフリーランサー、さらに個人でも気軽に利用できる。
一方、それぞれの特徴は、実際に使い込んでみないとわからない面も多々ある。今回は、代表的なアプリを実際に試して、その機能をチェックした。
【SNS系会議アプリ】互いに事前承認したメンバーと話せる
すでに身近な存在になっているSNSのビデオ通話アプリも“会議”にピッタリな機能を備えている。
撮影:小林優多郎
- LINE
- Facebook Messenger
- ハングアウト
顔を見ながら話せるビデオ会議アプリは、大きく2つのグループに分けられる。ひとつは相互の事前承認が前提となる「SNS型」のアプリ。友だちになっている相手とだけ話せる、SNSのビデオチャットなどがこれに該当する。
LINEはPCだけでなく、Androidからも画面の共有が可能。ブラウザの画面などを共有できる。
例えば「LINE」のグループトークでは、グループでのビデオ通話が可能。最大200人まで同時に話すことができる。ただし、同時に画面表示できる人数には上限があり、PC版のLINEアプリの場合で最大16人まで。
PCから画面を共有できる機能もあり、プレゼン資料などを共有しながらも話せる。また、macOS向けのLINEアプリ限定ながら、背景をぼかせる機能も提供。また、スマートフォンでは、エフェクト機能を使って自分の代わりにキャラクターを表示したり、顔を隠すなどの加工ができる。
Facebookメッセンジャーのビデオ通話では、Chrome同士で画面を共有することができた。
Facebookの「メッセンジャー」でも同様に、最大50人までのビデオ通話が利用可能(画面表示は6人まで)。PC(WebおよびWindows、macOS、プラグインのインストールが必要)やAndroidから画面を共有できる。
LINEと同様にスマートフォン向けのアプリでは、エフェクト機能も利用可能。また、ビデオ通話中の画面を撮影できる機能や、通話中に新たなメンバーをグループに加えられる機能も備わっている。
個人向け「Googleハングアウト」では、Googleユーザー同士で通話などが利用できる。
出典:グーグル
このほか、Googleが個人向けに提供している「ハングアウト」でも、一度に最大10人までの承認済みの相手とビデオ通話ができる。通話中に新たなメンバーを追加することも可能で、その場合は承認済みの相手でなくてもGoogleのアカウント(Gmail)さえ持っていれば、共有したURLから参加できる。PCでは画面の共有機能も利用可能だ。
なお、G Suiteに組み込まれている法人向けのハングアウトは現在、ビジネスチャットの「Hangouts Chat」とビデオ会議の「Hangouts Meet」の2つのアプリ分けられているが、個人向けのアプリは今のところ1つだけとなっている(なお、法人向けのHangouts Meetは上位プラン・G Suite for EnterpriseやEducationでのみ録画可能だが、個人向けハングアウトとは別サービスとなっている)。
【ゲストはID不要】登録はホストだけでOK。ゲストはURLから手軽に参加できる4ツール
元から会議を想定しているツール群はURLでのゲスト招待機能など、豊富な機能を備えている。写真はZoom。
撮影:小林優多郎
- Skype
- Zoom
- Cisco Webex Meetings
- Microsoft Teams
ビデオ会議ツールのもうひとつのグループは、「登録するのはホストだけ」。あとのメンバーはユーザー登録やサインインなしで、会議にアクセスできる……というツール群。
面倒な登録が不要になる分だけ参加者の負担が少ないので、ビデオ会議に慣れていない相手を誘いやすいというメリットがある。
Skypeはグループでのビデオ通話(写真)のほか、URLを生成できる「会議」も利用可能。こなれたインターフェースで、無料のビデオ会議ツールとしてかなり優秀。
前述のハングアウトでも会議中に専用のURLを生成できるが、アクセスするにはGoogleアカウントでのサインインが必要。その点、アカウントなし、サインインなしでも参加可能なのが「Skype」だ。
Skypeでは事前承認した相手と最大50人までのビデオ通話ができるのに加えて、「会議」機能を使うとURLを生成して未登録のゲストを招待できる。ゲストはブラウザまたはSkypeアプリから、ユーザー登録不要で参加できる仕組みだ。
画面の共有や録音のほか、背景をぼかす機能や自動的に字幕をつけられる機能なども利用できる。また、あらかじめ通話の予定を設定して、参加予定者に通知できる機能もしっかり備わっている。
Zoomのホワイトボードはホストだけでなく、参加者も書き込み可能。ブレストなどに活用でき
無料で利用できる本格的なビデオ会議ツールとして人気の「Zoom」でも、参加者は登録なし、サインインなしで会議にアクセス可能だ。ホストはあらかじめ会議を開催する日時を設定して、会議ごとに専用のURLを生成して共有するだけ。
PCやスマートフォンのブラウザ、アプリのほか、専用の番号に電話をかける方法でも参加可能。無料版でも最大100人までの大規模なミーティングを開催できる。
会議では画面の共有はもちろん、その場で書き込めるホワイトボードも共有でき、背景をぼかしたり、任意の背景を合成できる機能や、録音・録画機能、挙手できる機能も提供する。
さらに、ホストは参加メンバーを、「ブレイクアウトルーム」と呼ばれる少人数グループに分けられるなど、かなり本格的な機能まですべて無料で利用できる。なお、有料版との大きな差異は、3人以上のビデオ会議の時間が、1回あたり40分に制限されていること。録音・録画した会議のログデータをクラウド保存できることなどだ。
「Cisco Webex Meetings」はメニューが豊富で機能が充実していることが特徴。有料版も90日間無償利用できるプログラムが提供されている。
同じく100人までの会議が無料で開催できる「Cisco Webex Meetings」も、ユーザー登録が必要なのはホストのみ。参加者は共有されたURLまたは、専用アプリからミーティングごとの番号でアクセスし、名前とメールアドレスを登録するだけで会議に参加できる。
画面やファイルの共有のほか、URLを指定してWEBコンテンツを共有できる機能や、ホワイトボード機能、投票機能なども備わっていて、会議で必要になりそうなツールがひととおり揃っている印象。
ただし、使える機能はOSやブラウザーに依存するところも大きく、コンテンツの共有などはブラウザによって利用できないケースもあるようだ。
さまざまな企業で導入が進んでいるMicrosoft Teams。無料版も存在する。
出典:Microsoft
最後にもうひとつ、コラボレーションツールとして急成長中の「Microsoft Teams」も無料版を提供している。ビジネスチャットとビデオ会議の機能を併せ持つツールで、無料版でも最大300人までの利用が可能。
ホストはもちろん、ゲストにもMicrosoftアカウントが必要となるが、チャットやビデオ会議でコミュニケーションしつつ、同じ画面上でWordやExcel、Power PointといったOfficeアプリを使った共同作業ができる。
「Slack」や「Chatwork」といったビジネスチャットツールでも、一対一のビデオ会議なら無料で利用できるが、Teamsは無料版でもグループでのビデオ会議が可能。誰でも利用できる手軽さではサインイン不要のツールが勝るものの、チャット、ファイル共有、ビデオ会議でグループ作業を効率化できるツールとしては、ほかにないオールインワンの魅力がある。
無料版では今のところ、ビデオ会議の録音・録画や、あらかじめスケジュール設定した会議の開催はできない仕様になっているが、会議のスケジュール機能については将来、無料版でも提供予定とのことなので、その点も期待したい。
テレワークの広がりを受けて、今急速にニーズが高まっているビデオ会議ツールだが、無料版の提供だけでなく、有料版の無償トライアル期間を長く設定するなど、企業向けにも様々な支援プログラムが提供されている。
リアルでは3密(密閉空間、密集した場所、密接した会話)を避けるが合い言葉となっているが、その分デジタルでいかにコミュニケーションを“密”にできるか、さまざまなトライアルが始まっている。
(文・太田百合子、撮影・小林優多郎)
太田百合子:フリーライター。パソコン、タブレット、スマートフォンからウェアラブルデバイスやスマートホームを実現するIoT機器まで、身近なデジタルガジェット、およびそれらを使って利用できるサービスを中心に取材・執筆活動を続けている。
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April 07, 2020 at 03:24AM
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