<コロナ危機で巣籠もり中の人には朗報だが、著者たちは「海賊行為」に等しいと猛反発>
新型コロナウイルスの感染拡大で図書館が相次いで休館するなか、「世界中の読者への贈り物」だとニューヨーカー誌がたたえた動きがある。世界中のデジタル情報を閲覧できるオンライン図書館の構築を目指してきた米非営利団体のインターネット・アーカイブが「非常事態図書館」を開設すると発表したのだ。
インターネット・アーカイブは、約400万冊の書籍をオンライン上で閲覧できるようにしてきた。250万冊は著作権が発生していなかったり消滅していたりする作品だが、それ以外の作品に関しては、図書館と同様に、同時に閲覧できるユーザーの数に上限が定められている。
ところが、インターネット・アーカイブはこの上限を一時的に撤廃する方針を打ち出した。外出禁止と図書館の休館を受けた措置だ。
これに対し、著者からは反発の声が上がっている。作家のコルソン・ホワイトヘッドはツイッターに、「書籍を違法にスキャンしてネットに載せる行為は、図書館とは全く違う」と書いた。
「料金を支払うことなく著作権の存在する作品を無制限に利用させるのは、海賊行為そのものだ」と、ショーニン・マグワイアも記した。
「非常時」ムードの中で
全米作家協会も強く批判している。「インターネット・アーカイブが新型コロナウイルス感染症を口実に著作権保護をさらに骨抜きにしようとしていることに衝撃を禁じ得ない......著者たちの執筆収入は年間2万300ドル程度にすぎないのに、ブックツアーや講演の中止、フリーランスとしての仕事の減少などで痛めつけられている」
もちろん、インターネット・アーカイブにも言い分はある。例えば、非常事態図書館でもユーザーの閲覧期間に最大2週間の上限を設けており、従来型の図書館が提供している電子書籍の貸し出しと大差ないというのだ。
しかし、書籍の入手方法はまるで違う。従来型の図書館は市販の電子書籍の利用権を購入し、1度に1人ずつしか利用させない。その利用権には有効期限があり、図書館が利用権を延長する場合は再び利用料を支払う。
一方、インターネット・アーカイブは紙の書籍を1冊購入し、それをスキャンしてネットに載せる。閲覧数がどれだけ増えても、作家が受け取れるのは最初の1冊分の印税だけだ。
感染症が大流行しているような状況では、教育目的ならば著作権保護を最優先にしなくてもいいという主張もある。だが知的財産権専門の弁護士アダム・ケッセルによれば、その主張が成り立つのは、利用を教育機関に限定する場合だけだ。
著者と出版社はこの問題に対して、実質的には「お願い」する以外に策がない。非常時というムードが落とす影も大きい。「このサービスは、家に籠もって過ごす人々に文化的なコンテンツを提供するもの。大手出版社は(それに待ったをかけることで)悪役イメージを持たれたくないはずだ」と、ケッセルは言う。
作家を応援したい人は、通販を利用したり、電子書籍を購入したり、図書館の電子書籍貸し出しサービスを利用したりしたほうがよさそうだ。
© 2020, Slate
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