いよいよ公道走行試験が始まったソニーの電気自動車(EV)「VISION-S Prototype」。そのプロジェクトを推進するのが、AIロボティクスビジネスグループだ。イヌ型ロボット「aibo」の復活プロジェクトも手掛けた精鋭チームである。なぜ今、EVなのか。取り組みを追っていくと、AIロボティクスビジネスグループの社内での位置づけとソニーの次の狙いが見えてきた。
2021年3月28日、東京・二子玉川に多くの人が訪れた。その目当ては最新EV。中でも、ひときわ注目を集めたのが、一般向けとしては国内初公開となるソニーのEVコンセプト「VISION-S Prototype」だ。さらに、その脇には、同社の最新ドローン「Airpeak」、18年に約12年ぶりに復活した、表記を英小文字に変えたイヌ型ロボット「aibo」の姿もあった。
EV、ドローン、イヌ型ロボット……。一見、無関係に思えるこれらのプロダクトは、ソニー内のある組織が一手に開発を担っている。その名は、「AIロボティクスビジネスグループ」。ソニーグループの直下に存在する。ソニーのこれからのビジネスを生み出す部隊であり、同チームを率いるのが、冒頭の写真でaiboを抱いているソニーグループ常務AIロボティクスビジネスグループ部門長の川西泉氏だ。
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aiboを復活させた精鋭集団がEV開発に挑む
そもそもこの組織は、「かつてAIBOとして商品化したロボットaiboを再度、事業化しようという話がベースにあり、これを起点にして、R&Dのチームに加えてスマートフォンやカメラなどの知見を持つエンジニアが集結して数人でスタートした」(川西氏)もの。その後は、社内の優秀な人材をかき集めて進められた。もっとも、aibo復活は、対外的にはもちろん、社内的にも秘密だった。「何をつくるのかを知らせないままエンジニアをスカウトしてきたこともあった」(川西氏)というほどだ。 なぜなら、かつてのAIBOはソニーのAIロボティクスの歴史にとって極めて象徴的な商品であり、AIロボティクスビジネスの今後の広がりを考えると、復活プロジェクトは失敗が許されなかったからだ。
そもそもAIロボティクス分野の研究開発は、エンジニアサイドでは06年に従来のモデルのAIBOが終売となってからもひそかに続けられてきた。その一方で、「社としてソニーは今後どのような方向に注力していこうかと考えた際、AIロボティクスが挙がった」と川西氏。「AIロボティクスは、AI(人工知能)やセンシング、クラウド、そしてロボティクスなどの技術を複合的に組み合わせたもので、ソニーはこれらのアセットを全て持っている」(川西氏)という判断からだ。エンジニアによるボトムアップと、マネジメント側からのトップダウン、その両方がかみ合ったことで、aiboを象徴としてAIロボティクスビジネスの本格始動が決定。さらに、AIロボティクスのキーテクノロジーを生かせるものとして、EVやドローンの開発へとつながっていった。
ソニーの持つこれらのアセットの中でも最大の強みと言えるのが、外的な環境を認識するセンシングだ。ソニーはカメラや機械の“目”となるCMOSイメージセンサーで、金額ベースで世界トップとなる約50%のシェアを持つ。この技術をベースに、イメージセンサーの用途拡大で注目を集めるセンシング領域でも応用を加速している。
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ソニーが本気で電気自動車を作る理由 手掛けるのはaiboチーム - 日経クロストレンド
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