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オープンソースに対する誤解、「無料版」と何が違うのか - 日経ビジネス電子版

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(写真:PIXTA)

 東京都の新型コロナウイルス感染症対策サイトの事例が広まったことで、オープンソース・ソフトウエアについての関心が高まっている。前回お伝えした経済産業省のIMIコンポーネントツールも、その後すぐライセンスが整備されてGitHubで公開された。

 オープンソース・ソフトウエアと聞くと、多くの人は「無料」をイメージするかもしれない。実際、多くのオープンソース・ソフトウエアは無料でソースコードが公開されていて、導入検討時に「ソフトウエアそのものの費用がかからない」ことがメリットの1つになっている。また、機能限定無料版(ソースコードは非公開)のフリーミアムモデルのソフトウエアがオープンソース・ソフトウエアと並んで検討されることもある。だが、ソースコードの公開を指すオープンソース・ソフトウエアは、必ずしも無料を意味しない。オープンソース・ソフトウエアはソフトウエア開発の手法の1つであり、マーケティングの手法であるフリーミアムとは意味も目的も異なるものだ。

 機能限定版が無料であるとか、限られた範囲が無料といった「フリーミアムモデル」はますます広がっている。この記事が掲載されている日経ビジネス電子版のサブスクリプションも、無料会員は月に一定本数の有料記事を読むことができる。デジタルなソフトウエアは期間契約のサブスクリプションモデルと相性が良い。昔は買い切りがほとんどだった米マイクロソフトのOfficeや米アドビのPhotoshopのようなソフトウエアも、今は月額課金のサブスクリプションモデルが広がっている。

 そうしたサブスクリプションモデルのビジネスの多くは、機能限定で無料版を公開するフリーミアムモデルを組み合わせていることが多い。「買ってみたけど期待外れ」なものにお金が使われるよりも、きちん活用されるものに対価が支払われる方が社会の生産性は上がりそうなので、納得した上で料金を支払えるフリーミアムモデルは先にお金を払うモデルより良いものだろう。

「フリー」「ロングテール」などの概念を一般的にしたクリス・アンダーソン氏(左)。現在はオープンソースのDIY自動運転カーを推進している。

フリーミアムの基盤となっているクラウドサービス

 サブスクリプションモデルやフリーミアムモデルの基盤はクラウドサービスだ。デジタルのソフトウエアはコピーにお金がかからないし、従量課金で提供されるクラウドサービスも、ユーザーに対してかかる追加コストはわずかだ。そのため、オンラインゲームでは「プレイ無料でアイテム課金」といったフリーミアムモデルがしばしば見られる。

 買い切りでなくサービス単位でソフトウエアが提供されるSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)やクラウドサービスのようなビジネスが生まれたのは、そうしたサービスを構成するサーバーソフトウエアやデータベースサーバーなどのソフトウエア群がオープンソース・ソフトウエアでまかなえるようになったことが大きい。

 クラウドサービスが一般的になる2005年以前にも台数や期間を決めてサーバーを貸し出すサービスはあったが、ソフトウエアのライセンスについてはサーバーを借りる側が事前に購入しておくといった課題があり、今のクラウドサービスのように利用形態に応じて柔軟にコンピューターが用意されるものではなかった。当時のレンタルサーバーと現在のクラウドの間には、賃貸の不動産とホテルのような違いがある。

 その意味でオープンソース・ソフトウエアはフリーミアムモデルが広がるための大きな要素ではある。しかし、フリーミアムモデルの多くは、特定の人たちがソフトウエアを開発してサービスを提供しているので、オープンソース・ソフトウエアとは異なる。

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