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市営バス高齢者無料乗車制度について~対談~/高槻市ホームページ - city.takatsuki.osaka.jp

【令和2年3月26日掲載】

皆さんこんにちは。健康福祉部長の関本です。新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、様々なイベント等を自粛していただくなど、皆様には多岐に渡りご協力いただき、誠にありがとうございます。

さて、本市では人口の高齢化が顕著な中、高齢者を取り巻く状況の変化や市営バスの経営面、他の高齢者施策も含めて総合的にとらえる中で、市では引き続き本制度を持続可能な形で維持するために、『市営バス高齢者無料乗車制度』の見直し案を3月の定例市議会へ提案し、市議会での審議を経て、この度、本制度の見直しが決定しました。なお、今回の制度見直しのポイントは次の3点です。

1.無料乗車制度を維持するとともに、対象年齢を70歳以上から75歳以上に引き上げる

2.70歳から74歳までの方が1乗車100円でご利用できる割引制度を新たに創設する

3.既に無料乗車券をお持ちの方については無料を継続するなど、経過措置を実施する

今回の「こちら部長室」では、この制度見直しを提案するに至った経緯などについて、市が考えてきたことをかいつまんで市民の皆様にお伝えしたいと考え、少し趣向を変え、対談の形式でお伝えしたいと思います。対談するのは交通部の西岡自動車運送事業管理者、総合戦略部の西田部長、そして私、関本の3人です。今回の制度見直しにあたっては、健康福祉部のみではなく、交通部や総合戦略部も含めた3部で検討を重ねてきました。是非皆様にご理解いただきたいと考えています。

対談

関本:それでは、お二方よろしくお願いします。

西岡:よろしくお願いします。

西田:よろしくお願いします。

「市営バス高齢者無料乗車制度」について

関本:さて、今回のテーマである「市営バス高齢者無料乗車制度」ですが、70歳以上の高槻市民を対象に、市営バスを無料でご乗車いただける福祉制度として昭和47年から開始し、今日まで約50年もの間続いてきた制度です。ちなみに障がい者手帳をお持ちの方に対しては別途制度があります。

またこの制度の運営にあたっては、市の一般会計の予算から、市営バスに対して、平成10年度から今までは毎年6億円の補助金を支出しています。ちなみに、この一般会計の予算は市民の方からの税金収入などから成り立っています。

この制度について、交通部の立場からはいかがでしょうか。

西岡:交通部は市の公営企業として、市営バスの運行を行う、いわゆる「公営交通事業者」ですので、「独立採算制」の原則の下に、当然ですが経営にあたっては、乗客の方々からいただく運賃収入が基本となります。しかし、この無料乗車制度を利用される方からは、直接運賃をいただいておりませんので、関本部長が今おっしゃった、市からの補助金を受けていることに加え、交通部として一部負担しながら実施しています。外出支援、生きがいづくり等を促進する高齢者施策の一つとして、市営バスも市とともに市民の皆様を支援させていただいています。

関本:この制度は、平成29年度以前は、紙製の乗車証で運用していましたが、平成30年度からはICカードに変更し、利用を希望される方からの申請方式となりました。

西岡:そうですね。紙製の乗車証であった時は、降車時に運転士に提示する仕組みで、実際どれくらいの方が、いつ、どのようにご利用されていたのか、乗客調査で、ある程度の推測値は持っていましたが、正確な数字は把握できていませんでした。昨年度からICカードになったことで、正確な利用実績が把握できるようになりました。交通部では定期券のIC化やTsukicaという市営バス専用ICカードを普及促進させているところでしたので、これからの経営計画を考える上でも良いタイミングだったと思っています。

関本:実際、無料乗車制度の利用実績はどうだったのでしょうか。

西岡:平成30年10月から令和元年9月までの1年間で、延べ約606万人の利用がありました。無料乗車制度利用の比率は約38%で、数値をみると、改めて多くの方がこの制度を利用されているという印象でした。それから利用実績から試算した年間運賃相当額は、1乗車均一区間220円で換算すると、約13億3,000万円に上ることがわかりました。

西田:この制度の補助金は年間6億円でしたので、補助金と年間運賃相当額にかなり「差」があることが分かりますね。本市の高齢者の人口は、全国と同様に増加傾向にあります。とりわけ75歳以上の後期高齢者の増加が顕著で、この「差」は今後もますます広がる見込みです。本市では様々な施策・事業を実施しており、一方で一般会計の予算にも限りがありますから、この「差」をどのように考えていくのか、非常に難しい問題ですね。

高槻市の将来推計人口

高槻市の将来推計人口のグラフ

本市をとりまく様々な社会状況の変化について

関本:昭和47年にこの無料乗車制度が始まった時の65歳以上の人口は、1万人程度でしたが、現在は10万人を超え、開始当時から比べて約10倍に増加。75歳以上の後期高齢者についていうと、18倍ほどにも増えています。

高槻市の人口推移

高齢者人口の推移の表

西岡:10倍というのは目を引く数字です。ところで、私はこの3人のなかで最年長で、気づけば65歳も間近に迫ってきました。昭和40年代当時の定年は55歳が多かったと思いますし、昔の65歳といえば、ずいぶん「お年寄り」というイメージが強かったものです。私自身が「高齢者」の仲間入りをするということに、全く実感がありません。

関本:これは日本社会全般に言えることだと思いますが、昔と違って最近は65歳=「高齢者」とは思えなくなりました。周りからみてもそうですし、65歳になられたご本人も、自分が「高齢者」であるとは思っておられない方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。高齢者人口の増加だけでなく、定年後の再雇用などによる就業高齢者の増加や、高齢者の体力、平均寿命・健康寿命なども伸びている研究データなどがあり、昔と比べて、高齢者は若返っていると感じられます。実際学会などでも、「高齢者」の定義を65歳ではなくもっと引き上げてはどうかという提言も出されているようです。

新体力テストの合計点の年次推移

新体力テストの合計点の年次推移のグラフ

(平成29年度スポーツ庁「体力・運動調査結果」より)

市の財政状況について

西田:いつまでも元気で健やかでありたいですよね。将来的には、私も意識して介護予防に取り組みたいと思っているところです。さて、本市の財政状況ですが、国と同様に本市も少子化によって、就労世代の人口が減少傾向にあり、今後、市税収入は減少していくことが見込まれます。その一方、支出面では、高齢化により、医療費や介護費などが大きく増えていく見込みとなっています。これらに加えて、本市の人口急増期に建設した小中学校など、多くの公共施設は老朽化しており、それらの大規模改修や更新にも、今後多くの予算が必要となることからも、市の将来の財政見通しは非常に厳しい状況です。

高槻市の歳入見通し(市税)の表

高槻市の歳入見通し(市税)

高槻市の歳出見通し(後期高齢者医療及び介護保険特別会計繰出金)の表

高槻市の歳出見通し(後期高齢者医療及び介護保険特別会計繰出金)

西岡:交通部の経営も同様です。そもそも公営バス自体、多くの自治体が経営上の問題等から撤退していることが多く、運営する自治体も少なくなっています。高槻市営バスの収支状況は、近年営業損益(※1)ベースで赤字が続いていましたが、平成30年度は経常損益(※2)ベースでも赤字となっています。要因は様々考えられますが、全体の輸送人員数は横ばい状態でありながら、無料乗車制度の対象者は年々増加しており、運賃を払って乗車される方が減少していることも、その一因です。無料乗車制度の利用実績は、今後も増加する見込みですので、このままでは厳しい経営状況が続く見通しです。

(※1)営業損益…主たる営業活動から発生する損益のこと。運賃や広告等の収入から、人件費等経費を引いたもの。

(※2)経常損益…通常の事業活動から発生する損益のこと。営業損益から営業外の収益及び費用を加減したもの。

券種別輸送人員の推移

券種別輸送人員の推移のグラフ

市営バス収支推移のグラフ

市営バス収支推移

持続可能な制度を目指して

関本:やはり、こうして様々な視点で物事をとらえてみると、この制度を取り巻く環境は、ずいぶん変化してきたと言えます。しかし、私は市民の健康と福祉を所管する部長として、社会福祉関係予算全体を見ながらも、何とかこの制度を維持していく方策を出していく必要があると思いました。

そこで、今回制度の見直しとして、

  1. 無料乗車制度を維持するとともに、対象年齢を70歳以上から75歳以上に引き上げる
  2. 70歳から74歳までの方が1乗車100円でご利用できる割引制度を新たに創設する
  3. 既に無料乗車券をお持ちの方については無料を継続するなど、経過措置(※)を実施する

の3点を提案したということです。

※経過措置の内容

経過措置の内容の図 経過措置の内容 1.昭和26年4月1日以前に生まれた方は新制度後も引き続き無料 2.昭和26年4月2日生まれ~昭和27年4月1日生まれの方は70歳は1乗車100円で71歳から無料 3.昭和27年4月2日生まれ~昭和28年4月1日生まれの方は70~71歳は1乗車100円で、72歳から無料 4.昭和28年4月2日生まれ~昭和29年4月1日生まれの方は70~72歳は1乗車100円で、73歳から無料 5.昭和29年4月2日生まれ~昭和30年4月1日生まれの方は70~73歳は1乗車100円で、74歳から無料 6.昭和30年4月2日以降に生まれた方は70~74歳は1乗車100円で、75歳から無料

西田: 市では、平成29年9月に「高槻市みらいのための経営革新に向けた改革方針」を発表し、「強い財政」「強い組織」「輝く未来」を実現するため、様々な取り組みを行っています。今回の無料乗車制度の見直しも含め、様々な改革に取り組むと同時に、「輝く未来をつくる」ための施策の実現にも注力していきたいと思っています。

西岡:今回、市民の皆様への影響が少しでも抑えられるよう、3部で協力して一生懸命考えてきましたが、私としては、まずは公共交通機関として、「市民の皆様の移動手段」を安定的に提供していく責務を果たしつつ、交通部としても、この制度をともに維持していきたいという思いで、できる限り協力していきたいと考えています。

関本:この見直し案では、70歳から74歳までの方について、通常均一区間で1乗車220円のところを100円の割引運賃でご利用いただけるものになります。市と市営バス、そして市民の皆様とで手を取り合って、この制度を次につなげていくことができればと考えています。

お二人とも、ありがとうございました。

西田:ありがとうございました。

西岡:ありがとうございました。

あとがき

今日は対談形式で「こちら部長室」を発信してみましたが、いかがでしたでしょうか。今後、新制度の内容などを、様々な方法で市民の皆様へお知らせしていきますので、よろしくお願いいたします。

こちら部長室バックナンバー

こちら部長室

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関本 剛司
1960年(昭和35年)8月、大阪府生まれ。2019年(平成31年)4月から現職。趣味は、孫の世話を焼くこと。

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